平成26年1月18日(土)埼玉県定期借地権住宅推進機構の研究会を開催しました。
埼玉県定期借地借家権推進機構の専務理事の阿部正男の挨拶ので開会。
弁護士の江口先生の基調講演「定期借地権の基本概念と実務の広がり」
平成4年8月1日施行の借地借家法により創設された借地権
『キャピタルゲインの移転しない借地権の創設』
定期借地権は存族期間が満了すると終了する借地権
定期借地権は、立ち退き料が不要となり、高額の権利金を授受しなくても採算がとれる
「法定更新」「正当事由」の排除で可能となった。
定期借地権事業による収入
@地代収入=土地価格の0.5〜1%前後
A保証金あるいは権利金=土地価格の1.0〜3%前後
平成17年度より「前受け地代」としての課税が可能になった!
@地主側は、50年間分割された各年度の受取分の金額のみを不動産所得の収入金額に計上すれば足りる。
A借地人側は、企業であれば、50年間に分割された毎年の支払い分の金額を毎年の経費に出来る。
契約期間にわたる賃料の一部を一括前払し、賃料の残額を月支払いと併用するする場合の契約書式
第X条(前払賃料)
乙は、本件土地の賃料の前払い(以下「前払賃料」という)として〇〇〇円を、本契約が成立したときに甲 が指定する金融機関口座に振り込むことにより、甲に対して一括して支払わなければならない。
2 前払賃料は、〇条に定める契約期間(〇〇年)にわたる賃料の一部に均等に充てるものとし、その毎月の 充当額(以下「前払賃料の月額換算額」という)は〇〇〇円(前払賃料÷契約期間(ヶ月))とする。この額を 明確にしておくことがポイント!
3 甲と乙とは、契約期間満了時において、前払賃料として一時金の支払いがあったことを根拠とする借地権 の消滅の対価に相当する金銭の授受は行わない。
4 本件借地権の存続期間の満了前に本契約を解除する場合において、甲は、前払賃料のうち契約期間の 残余の期間に充当されるべき前払賃料の月額換算額の合計額を、乙に返還しなければならない。この場合 において、返還すべき金員は日割り計算によるものとし、利息を附さないものとする。
第Y条 (賃料)
本件土地の賃料は、月額〇〇〇円とする。ただし、一ヶ月未満の期間については、日割り計算によるもの とする。→前払賃料の月額換算額と月支払賃料額との合計額を記載
2 乙は、賃料の額から前払賃料の月額換算額を減じた残余の額(当初においては〇〇〇円)を、毎月〇〇 日までに、その翌月分を甲が指定する金融機関口座に振り込むことにより、甲に対して支払わなければなら ない。
3 甲又は乙は、〇年毎に、以下に掲げる方式により算定した額に賃料を改定する事を請求することが出来 る。(算式省略)ただし、当該方式いより算定された額かかわらず、賃料の額は前払賃料の月額換算額を下 回らないものとする。
→改定賃料にかかわらず、前払賃料を返還しないタイプの特約
(注)甲....土地所有者(借地権設定者)乙....借地人(借地権者)
今回の措置を受けるための定期借地権設定契約書作成における実務的な留意点
定期借地権設定契約書の内容等において、
「前払賃料の一時金」と「その他の一時金」(保証金・権利金)との区別が出来なくなることがないように契約書を作成する事が不可欠の要請となる。
定期借地権のメリット・デメリット
土地所有者のメリット |
借地人のメリット |
1.土地の返還が確実である
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1.所有権分譲方方式に較べ、価格が低価格である |
2.立ち退き料が不要であるので、利回り確定の有効活用法である。 |
2.広い土地、広い建物あるいはハイグレードの建物に居住できる。 |
3.固定資産税・都市計画税が軽減される。 |
3.同一価格に比べ、中心部からの距離がさほど遠くない等、好立地においてマイホームを所得出来る。 |
4.初期資金が殆ど不要である。借入金が原則として不要 |
4.住宅に多額の資金を投入することなく、住宅ローンに縛られない余裕のある人生が可能になる。 所有権の場合のローンに注ぎ込むはずのお金を海外旅行等に活用できる |
6.安定した地代収入が得られる。 |
5.地価の値下がりや、地価が上昇するにしても金利を吸収できないような場合には、借地による方が有利。 |
7.相続税納税資金の捻出対策となる |
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8.相続税評価減対策となりえる。 |
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9.物納が可能 |
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10.遺産分割等が実行しやすくなる。 |
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